【源氏物語391 第13帖 明石53】源氏は明石の君に琴を聞かせてほしいと言った。歌を交わした時 ほのかにいう様子は六条御息所に似ている。

「今音が少ししたようですね。 琴だけでも私に聞かせてくださいませんか」 とも源氏は言った。 むつ言を 語りあはせん 人もがな うき世の夢も なかば覚《さ》むやと 明けぬ夜に やがてまどへる 心には 何《いづ》れを夢と 分《わ》きて語らん 前のは源氏の歌で、あとのは女の答えたものである。 ほのかに言う様子は伊勢の…