【源氏物語398 第13帖 明石60】明石の君は恋愛も結婚も考えていたよりも悲しいものであると思いながらも 訪れも間遠な源氏の不快を買う言動もしない。

この当座幾日は山手の家へ行く気もしなかった。 女は長い途絶えを見て、 この予感はすでに初めからあったことであると歎《なげ》いて、 この親子の間では最後には海へ身を投げればよいという言葉が 以前によく言われたものであるが、 いよいよそうしたいほどつらく思った。 年取った親たちだけをたよりにして、 いつ人並み…