【源氏物語409 第13帖 明石71】源氏の琴の音に感動した明石入道は、娘に促すように几帳の中に琴を差し入れた。明石の上はとめどもなく流れる涙に誘われたように琴を弾いた。

深夜の澄んだ気の中であったから、非常に美しく聞こえた。 入道は感動して、 娘へも促すように自身で十三絃の琴を 几帳《きちょう》の中へ差し入れた。 女もとめどなく流れる涙に誘われたように、低い音で弾き出した。 きわめて上手である。 入道の宮の十三絃の技は現今第一であると思うのは、 はなやかにきれいな音で、聞…