【源氏物語418 第13帖 明石80】夫人や乳母に恨み言を言われるし、入道の心は疲れ果てた。昼間は寝て夜は起き出す。池に落ちたり、岩角に腰を下ろし損ねて怪我もした。

妻と乳母《めのと》とが口々に入道を批難した。 「お嬢様を御幸福な方にしてお見上げしたいと、 どんなに長い間祈って来たことでしょう。 いよいよそれが実現されますことかと存じておりましたのに、 お気の毒な御経験をあそばすことになったのでございますね。 最初の御結婚で」 こう言って歎《なげ》く人たちもかわいそ…