【源氏物語426 第13帖 明石88 完】大弐の娘、五節は二条の院に手紙をおかせた。好きな女であったので訪ねたいと思ったが、不謹慎なもとはできないと思われた。

大弐《だいに》の娘の五節《ごせち》は、 一人でしていた心の苦も解消したように喜んで、 どこからとも言わせない使いを出して、 二条の院へ歌を置かせた。 須磨の浦に 心を寄せし 船人の やがて朽《く》たせる 袖を見せばや 字は以前よりずっと上手になっているが、 五節に違いないと源氏は思って返事を送った。 かへりて…