【源氏物語 第14帖 澪標〈みおつくし〉】光源氏28歳10月から29歳冬の話。源氏は、大納言へ昇進。参内の日を迎えた。清涼殿にて兄朱雀帝と3年ぶりに再会。長男・夕霧は殿上童として東宮に仕えていた。

須磨《すま》の夜の源氏の夢に まざまざとお姿をお現わしになって以来、父帝のことで痛心していた源氏は、帰京ができた今日になって その御菩提《ごぼだい》を早く弔いたいと仕度《したく》をしていた。 そして十月に法華経《ほけきょう》の八講が催されたのである。参列者の多く集まって来ることは昔のそうした場合のとお…