【源氏物語428 第14帖 澪標2】大后は源氏を追い落とせなかったと口惜しく思う。帝は源氏をお召しになり政治についても隔てのない進言をお聞きになる。

今日も重く煩っておいでになる太后は、 その中ででも源氏を不運に落としおおせなかったことを 口惜《くちお》しく思召《おぼしめ》すのであったが、 帝《みかど》は院の御遺言をお思いになって、 当時も報いが御自身の上へ落ちてくるような恐れを お感じになったのであるから、 このごろはお心持ちがきわめて明るくおなり…