【源氏物語430 第14帖 澪標4】朧月夜の尚侍が涙をこぼしているのをご覧になる朱雀帝、どんな罪も許してしまうと思し召され、愛情が深まるばかりである。

羞恥に頬を染めているためにいっそうはなやかに、 愛嬌がこぼれるように見える尚侍も 涙を流しているのを御覧になると、 どんな罪も許すに余りあるように思召されて、 御愛情がそのほうへ傾くばかりであった。 「なぜあなたに子供ができないのだろう。 残念だね。 前生の縁の深い人とあなたの中にはすぐにまた その悦《よ…