【源氏物語432 第14帖 澪標6】東宮の御元服があった。十二でおありになるがお綺麗で源氏に瓜二つである。母宮はそれを人知れず苦労にしておいでになった。

翌年の二月に東宮の御元服があった。 十二でおありになるのであるが、 御年齢のわりには御大人《おんおとな》らしくて、 おきれいで、 ただ源氏の大納言の顔が二つできたようにお見えになった。 まぶしいほどの美を備えておいでになるのを、 世間ではおほめしているが、 母宮はそれを人知れず苦労にしておいでになった。 …