【源氏物語448 第14帖 澪標22】源氏が語る明石の君に 紫の上は嫉妬する。源氏は十三弦を弾くように進めるが 名手と言われる明石の君が気になってか手も触れない。

別れの夕べに前の空を流れた塩焼きの煙のこと、 女の言った言葉、 ほんとうよりも控え目な女の容貌の批評、 名手らしい琴の弾きようなどを 忘られぬふうに源氏の語るのを聞いている女王は、 その時代に自分は一人で どんなに寂しい思いをしていたことであろう、 仮にもせよ良人《おっと》は 心を人に分けていた時代にと思…