【源氏物語453 第14帖 澪標27】源氏は紫の上に言い訳をしながら、上包みに書かれた字だけを見せた。貴女も恥ずかしいほどの 品の良い手跡である。

「そんなにあなたに悪く思われるようにまで 私はこの女を愛しているのではない。 それはただそれだけの恋ですよ。 そこの風景が目に浮かんできたりする時々に、 私は当時の気持ちになってね、 つい歎息《たんそく》が口から出るのですよ。 なんでも気にするのですね」 などと、 恨みを言いながら上包みに書かれた字だけを…