【源氏物語470 第14帖 澪標44】源氏は懐紙に歌を書き 明石の君の船に届けた。明石の君は自身の薄幸さを悲しんでいたところに 少しの消息であるが送られてきたことで感激して泣いた。

源氏は懐紙に書くのであった。 みをつくし 恋ふるしるしに ここまでも めぐり逢ひける 縁《えに》は深しな 惟光に渡すと、明石へついて行っていた男で、 入道家の者と心安くなっていた者を使いにして明石の君の船へやった。 派手な一行が浪速を通って行くのを見ても、 女は自身の薄倖《はっこう》さばかりが思われて悲しん…