【源氏物語469 第14帖 澪標43】源氏は淀川の七瀬に祓いの幣が建てられてある堀江を眺め「今はた同じ浪速なる」(身をつくしても逢はんとぞ思ふ)と我知らず口に出た。

こちらの派手な参詣ぶりに畏縮《いしゅく》して 明石の船が浪速のほうへ行ってしまったことも惟光が告げた。 その事実を少しも知らずにいたと 源氏は心で憐《あわれ》んでいた。 初めのことも今日のことも住吉の神が 二人を愛しての導きに違いないと思われて、 手紙を送って慰めてやりたい、 近づいてかえって悲しませたこ…