【源氏物語471 第14帖 澪標 45】田蓑島《たみのじま》での祓《はら》いの木綿《ゆう》につけて、明石の上の返事は源氏の所へ来た。源氏は人目を遠慮せず会いに行きたいとさえ思った。

数ならで なにはのことも かひなきに 何みをつくし 思ひ初《そ》めけん 田蓑島《たみのじま》での 祓《はら》いの木綿《ゆう》につけて この返事は源氏の所へ来たのである。 ちょうど日暮れになっていた。 夕方の満潮時で、 海べにいる鶴《つる》も鳴き声を立て合って 身にしむ気が多くすることから、 人目を遠慮していず…