【源氏物語 482 第14帖 澪標56】源氏は几帳の間から 六条御息所の娘 前斎宮を見た。気高い美と愛嬌が備わる美しい姫であった。御息所は具合が悪くなり 源氏に帰るよう行って 横になった。

帳台の東寄りの所で身を横たえている人は 前斎宮でおありになるらしい。 几帳の垂《た》れ絹が乱れた間からじっと目を向けていると、 宮は頬杖《ほおづえ》をついて悲しそうにしておいでになる。 少ししか見えないのであるが美人らしく見えた。 髪のかかりよう、頭の形などに気高い美が備わりながら また近代的なはなやか…