【源氏物語485 第14帖 澪標59】源氏は、六条御息所の葬儀を取り仕切った。非常に頼もしく 恨めしがっていた一家の方々の感情も解消されていった。

前の斎宮司の役人などで 親しく出入りしていた者などがわずかに来て 葬式の用意に奔走するにすぎない六条邸であった。 侍臣を送ったあとで源氏自身も葬家へ来た。 斎宮に弔詞を取り次がせると、 「ただ今は何事も悲しみのためにわかりませんので」 と女別当《にょべっとう》を出してお言わせになった。 「私に御遺言をなす…