【源氏物語486 第14帖 澪標60】源氏は、昔を思いながら居間の御簾を下《お》ろしこめて精進の日を送り仏勤めをしていた。前斎宮へは始終見舞いの手紙を送っていた。

源氏は寂しい心を抱いて、 昔を思いながら居間の御簾《みす》を下《お》ろしこめて 精進の日を送り仏勤めをしていた。 前斎宮へは始終見舞いの手紙を送っていた。 宮のお悲しみが少し静まってきたころからは 御自身で返事もお書きになるようになった。 それを恥ずかしく思召すのであったが、 乳母《めのと》などから、 「…