【源氏物語495 第14帖 澪標69】朱雀院は、斎宮としてお下りになる日の大極殿の儀式以来、恋しく思われて 院の後宮へお入りなること望まれた。

院は宮が斎宮としてお下りになる日の 荘厳だった大極殿《だいごくでん》の儀式に、 この世の人とも思われぬ美貌を御覧になった時から、 恋しく思召されたのであって、 帰京後に、 「院の御所へ来て、私の妹の宮などと同じようにして暮らしては」 と宮のことを、 故人の御息所へお申し込みになったこともあるのである。 御…