【源氏物語496 第14帖 澪標70】源氏は、朱雀院に申し訳ないと思いつつも、宮中にお入れする事を入道の宮(藤壺)に申しあげた。

源氏はこの話を聞いて、 院が望んでおいでになる方を横取りのようにして 宮中へお入れすることは済まないと思ったが、 宮の御様子がいかにも美しく可憐《かれん》で、 これを全然ほかの所へ渡してしまうことが残念な気になって、 入道の宮へ申し上げた。 こんな隠れた事実があって決断ができないということをお話しした。 …