夕顔を失い 悲しみのあまり落馬する源氏【源氏物語 51 第4帖 夕顔17】 床に臥し衰弱。帝のご心痛をもったいなく思う。

「もう明け方に近いころだと思われます。 早くお帰りにならなければいけません」 惟光《これみつ》がこう促すので、源氏は顧みばかりがされて、 胸も悲しみにふさがらせたまま帰途についた。 露の多い路《みち》に厚い朝霧が立っていて、 このままこの世でない国へ行くような寂しさが味わわれた。 某院の閨《ねや》にいた…