【源氏物語507 第15帖 蓬生7】兄の禅師は生活能力がない。末摘花の邸は、浅茅《あさじ》は庭の表も見えぬほど茂って、蓬《よもぎ》は軒の高さに達するほど荒れている。

兄の禅師《ぜんじ》だけは稀《まれ》に 山から京へ出た時に訪《たず》ねて来るが、 その人も昔風な人で、同じ僧といっても生活する能力が全然ない、 脱俗したとほめて言えば言えるような男であったから、 庭の雑草を払わせればきれいになるものとも気がつかない。 浅茅《あさじ》は庭の表も見えぬほど茂って、 蓬《よもぎ…