【源氏物語509 第15帖 蓬生9】友達もいず、趣味もない。親戚とも親しもうとすることも、手紙を書くこともない。末摘花は父宮に大切にされた時と同じ心持ちでいた。

古い歌集を読んだり、 小説を見たりすることでつれづれが慰められることにもなるし、 物質的に不足の多い境遇も忍んで行けるのであるが、 末摘花はそんな趣味も持っていない。 それは必ずしもよいことではないが、 暇な女性の間で友情を盛った手紙を書きかわすことなどは、 多感な年ごろではそれによって自然の見方も深く…