【源氏物語514 第15帖 蓬生14】源氏は帰京して 忠実な人たちに報いたが、末摘花だけは思い出されることがなく、彼女は苦しく切なく一人で泣いてばかりいた。

そのうちに源氏 宥免《ゆうめん》の宣旨が下り、 帰京の段になると、 忠実に待っていた志操の堅さを だれよりも先に認められようとする男女に、 それぞれ有形無形の代償を喜んで源氏の払った時期にも、 末摘花だけは思い出されることもなくて幾月かがそのうちたった。 もう何の望みもかけられない。 長い間不幸な境遇に落…