【源氏物語516 第15帖 蓬生16】叔母の大弐の夫人は、なお誘うのであるが、末摘花は一途に源氏を信じている。ただひたすら忍耐し待ち続けているのである。

「京へお置きして参ることは気がかりでなりませんから いらっしゃいませ」 と誘うのであるが、 女王の心は なお忘れられた形になっている源氏を頼みにしていた。 どんなに時がたっても 自分の思い出される機会のないわけはない、 あれほど堅い誓いを自分にしてくれた人の心は 変わっていないはずであるが、 自分の運の悪い…