【源氏物語521 第15帖 蓬生 21】大弐の夫人の叔母は、源氏の君は兵部卿の宮の姫君(若紫)を大切にして他に目がいかないようだと伝える。希望を断たれ末摘花は悲しくなり泣きいった。

「御好意はうれしいのですが、 人並みの人にもなれない私はこのままここで死んで行くのが 何よりもよく似合うことだろうと思います」 とだけ末摘花は言う。 「それはそうお思いになるのはごもっともですが、 生きている人間であって、 こんなひどい場所に住んでいるのなどはほかにめったにないでしょう。 大将さんが修繕を…