【源氏物語237 第十帖 賢木49】源氏は中宮に手紙を送ると返事が来た。中宮の字は、特色のある派手な字というのではないが、決して平凡ではないのである。

中宮は院の御一周忌をお営みになったのに続いて またあとに法華経《ほけきょう》の八講を催されるはずで いろいろと準備をしておいでになった。 十一月の初めの御命日に雪がひどく降った。 源氏から中宮へ歌が送られた。 別れにし 今日《けふ》は来れども 見し人に 行き逢《あ》ふほどをいつと頼まん 中宮のためにもお悲し…