【源氏物語534 第15帖 蓬生34】源氏が几帳の垂れ絹をあげると、末摘花は恥ずかしそうに座っていて よう返事をしようとしない。源氏は姫君のために言葉を尽くした。

「長くお逢いしないでも、 私の心だけは変わらずにあなたを思っていたのですが、 何ともあなたが言ってくださらないものだから、 恨めしくて、 今までためすつもりで冷淡を装っていたのですよ。 しかし、三輪《みわ》の杉《すぎ》ではないが、 この前の木立ちを目に見ると素通りができなくてね、 私から負けて出ることにし…