【源氏物語536 第15帖 蓬生36】末摘花は、親のしたままを長く保っていく人として心の惹かれる。差恥心の多いところもさすがに貴女であると思った。

落ちようとする月の光が 西の妻戸の開いた口からさしてきて、 その向こうにあるはずの廊もなくなっていたし、 廂《ひさし》の板もすっかり取れた家であるから、 明るく室内が見渡された。 昔のままに飾りつけのそろっていることは、 忍ぶ草のおい茂った外見よりも風流に見えるのであった。 昔の小説に親の作った堂を毀《こ…