【源氏物語545 第16帖 関屋6】源氏は、右衛門佐(小君)に手紙をことづけた。久しぶりに得た源氏の文字に空蝉は返事を書いた。

「あれから長い時間がたっていて、 きまりの悪い気もするが、 忘れない私の心ではいつも現在の恋人のつもりでいるよ。 でもこんなことをしてはいっそう嫌われるのではないかね」 こう言って源氏は渡した。 佐はもったいない気がしながら受け取って姉の所へ持参した。 「ぜひお返事をしてください。 以前どおりにはしてくだ…