【源氏物語546 第16帖 関屋7】病床の常陸介(空蝉の夫)は、残される空蝉心配し せめて愛妻のために魂だけをこの世に残して置きたいと願ったが、亡くなってしまった。

恨めしかった点でも、 恋しかった点でも源氏には忘れがたい人であったから、 なお おりおりは 空蝉の心を動かそうとする手紙を書いた。 そのうち常陸介《ひたちのすけ》は 老齢のせいか病気ばかりするようになって、 前途を心細がり、 悲観してしまい、 息子たちに空蝉のことばかりをくどく遺言していた。 「何もかも私の…