【源氏物語549 第17帖 絵合2】源氏は、朱雀院の贈り物の櫛の箱を拝見した。飾りの造花に御歌か書かれてあった。院の 前斎宮への恋心を思うと 心の痛くなるのを覚えた。

源氏はただ櫛の箱だけを丁寧に拝見した。 繊細な技巧でできた結構な品である。 挿《さ》し櫛のはいった小箱につけられた飾りの造花に 御歌が書かれてあった。 別れ路《ぢ》に 添へし小櫛をかごとにて はるけき中と 神やいさめし この御歌に源氏は心の痛くなるのを覚えた。 もったいないことを計らったものであると、 源氏…