【源氏物語553 第17帖 絵合 6】華やかな女御としての前斎宮。御息所が生きておられたなら どれほど喜ぶであろう。あれほどの人を失ったことは この世の損失とさえ思った。

養父として一切を源氏が世話していることにしては 院へ済まないという遠慮から、 単に好意のある態度を取っているというふうを示していた。 もとからよい女房の多い宮であったから、 実家に引いていがちだった人たちも皆出て来て、 すでにはなやかな女御の形態が調ったように見えた。 御息所《みやすどころ》が生きていた…