【源氏物語556 第17帖 絵合9】帝は何よりも絵に興味を持っておいでになり、斎宮の女御は絵をよく描くので 帝はそれがお気に入ってご寵愛も盛んになった。

こんなふうに隙間《すきま》もないふうに 二人の女御が侍しているのであったから、 兵部卿《ひょうぶきょう》の宮は女王の後宮入りを 実現させにくくて煩悶《はんもん》をしておいでになったが、 帝が青年におなりになったなら、 外戚の自分の娘を疎外あそばすことはなかろうと なお希望をつないでおいでになった。 宮廷の…