【源氏物語559 第17帖 絵合12】源氏と紫の上は、源氏の描いた絵を見て選んだ。紫の上は源氏の辛い時代を思いやり、源氏はその心持ちを哀れに思った。

夫人は今まで源氏の見せなかったことを恨んで言った。 「一人居《ゐ》て 眺めしよりは 海人《あま》の住む かたを書きてぞ 見るべかりける あなたにはこんな慰めがおありになったのですわね」 源氏は夫人の心持ちを哀れに思って言った。 「うきめ見し そのをりよりは 今日はまた 過ぎにし方に帰る涙か 中宮《ちゅうぐう》…