【源氏物語571 第17帖 絵合24】須磨の巻が出たときに、判者の親王をはじめとして皆 涙を流した。同情しながら想像したより 絵によって知る須磨はもっと悲しいものであった。

最後の番に左から須磨の巻が出てきたことによって 中納言の胸は騒ぎ出した。 右もことに最後によい絵巻が用意されていたのであるが、 源氏のような天才が 清澄な心境に達した時に写生した風景画は 何者の追随をも許さない。 判者の親王をはじめとしてだれも皆涙を流して見た。 その時代に同情しながら想像した須磨よりも、…