【源氏物語579 第18帖 松風 3】入道夫人の祖父の中務卿親王の別荘が、嵯峨の大井川の側にあった。入道は、明石の上と姫君の住まいにしようと手入れをする。

入道夫人の祖父の中務卿《なかつかさきょう》親王が 昔持っておいでになった別荘が 嵯峨《さが》の大井川のそばにあって、 宮家の相続者にしかとした人がないままに 別荘などもそのままに荒廃させてあるのを思い出して、 親王の時からずっと預かり人のようになっている男を 明石へ呼んで相談をした。 「私はもう京の生活を…