【源氏物語581 第18帖 松風 5】明石入道から 修繕された大堰の山荘を明石の君の家とすると知らせが来た。聡明なやり方だと源氏は思った。

「私のほうでは田地などいらない。 これまでどおりに君は思っておればいい。 別荘その他の証券は私のほうにあるが、 もう世捨て人になってしまってからは、 財産の権利も義務も忘れてしまって、 留守居《るすい》料も払ってあげなかったが、 そのうち精算してあげるよ」 こんな話も相手は、 入道が源氏に関係のあることを …