【源氏物語587 第18帖 松風11】明石入道は、出世を諦め地方官になったが、珠玉のような娘を埋もれさせていいのものかと悩むようになった。娘の明石の君への想いを語る。

「私は出世することなどを思い切ろうとしていたのだが、 いよいよその気になって地方官になったのは、 ただあなたに物質的にだけでも 十分尽くしてやりたいということからだった。 それから地方官の仕事も私に適したものでないことを いろんな形で教えられたから、 これをやめて地方官の落伍《らくご》者の一人で、 京で軽…