【源氏物語586 第19帖 薄雲17】大井の山荘は風流に住みなされていた。明石は源氏が見るたびに美が完成されていくと思う容姿を持っていて、この人は貴女に何ほども劣るところがない。

大井の山荘は風流に住みなされていた。 建物も普通の形式離れのした雅味のある家なのである。 明石は源氏が見るたびに 美が完成されていくと思う容姿を持っていて、 この人は貴女《きじょ》に何ほども劣るところがない。 身分から常識的に想像すれば、 ありうべくもないことと思うであろうが、 それも世間と相いれない偏狭…