【源氏物語596 第19帖 薄雲27】源氏は二条の院の庭の桜を見ても、故院の花の宴の日のことが思われ、当時の藤壺の中宮が思われた。「今年ばかりは」(墨染めに咲け)と口ずさまれるのであった。

源氏は二条の院の庭の桜を見ても、 故院の花の宴の日のことが思われ、 当時の中宮《ちゅうぐう》が思われた。 「今年ばかりは」(墨染めに咲け) と口ずさまれるのであった。 人が不審を起こすであろうことをはばかって、 念誦《ねんず》堂に引きこもって終日源氏は泣いていた。 はなやかに春の夕日がさして、 はるかな山…