【源氏物語609 第19帖 薄雲40】源氏は几帳だけを隔てて、女御とお会いになった。艶な人であるに相違ない、今日まで お顔を見ることのできないことが残念であると、源氏の胸が騒いだ。困った癖である。

御簾《みす》の中へ源氏ははいって行った。 几帳《きちょう》だけを隔てて王女御はお逢いになった。 「庭の草花は残らず咲きましたよ。 今年のような恐ろしい年でも、 秋を忘れずに咲くのが哀れです」 こう言いながら柱によりかかっている源氏は美しかった。 御息所《みやすどころ》のことを言い出して、 野の宮に行ってな…