【源氏物語610 第19帖 薄雲41】「自分の誠意がわかってもらえなかった二つのことがある、一つはあなたのお母様のことです。お恨ませしたままお別れしてしまった。‥」源氏は もう一つの話はしなかった。

「私は過去の青年時代に、 みずから求めて物思いの多い日を送りました。 恋愛するのは苦しいものなのですよ。 悪い結果を見ることもたくさんありましたが、 とうとう終《しま》いまで 自分の誠意がわかってもらえなかった二つのことがあるのですが、 その一つはあなたのお母様のことです。 お恨ませしたままお別れしてしま…