【源氏物語614 第19帖 薄雲45】可憐な斎宮女御(六条御息所の姫君)に源氏は思わず恋心を打ち明ける。女御は困惑して 柔らかにみじろぎをして少しずつあとへ引っ込んでお行きになる。

お言葉尻《じり》の しどけなくなってしまう様子などの可憐《かれん》さに、 源氏は思わず規《のり》を越した言葉を口に出した。 「君もさは 哀れをかはせ 人知れず わが身にしむる秋の夕風 忍びきれないおりおりがあるのです」 宮のお返辞のあるわけもない。 腑《ふ》に落ちないとお思いになるふうである。 いったんおさ…