【源氏物語624 第20帖 朝顔6】源氏は朝顔の姫君を訪ねた。鈍色の縁の御簾に黒い几帳の添えて立てられてある透影は身にしむものに思われた。薫物の香が風について吹き通う艶なお住居である。

女王のお住まいになっているほうの庭を遠く見ると、 枯れ枯れになった花草もなお魅力を持つもののように思われて、 それを静かな気分でながめていられる麗人が直ちに想像され、 源氏は恋しかった。 逢いたい心のおさえられないままに、 「こちらへ伺いましたついでにお訪ねいたさないことは、 志のないもののように、誤解…