【源氏物語630 第20帖 朝顔12】朝顔の姫君に夢中になって 御所の宿直の夜が多くなり、自宅でも手紙を書いている源氏に、紫の上は 姫君との噂は本当であり、打ち明けてくれてもいいのにと思った。

顧みられないというようなことはなくても、 源氏が重んじる妻は他の人で、自分は少女時代から養ってきた、 どんな薄遇をしても 甘んじているはずの妻にすぎないことになるのであろうと、 こんなことを思って夫人は煩悶《はんもん》しているが、 たいしたことでないことは あまり感情を害しない程度の夫人の恨み言にもなっ…