【源氏物語636 第20帖 朝顔18】儚いのが人生であるからと源氏は思いながらも、源典侍が長生きをして 気楽に仏勤めして暮らしているのも仏のお教えになったこの世の相であると感じてしんみりとした。

「あのころのことは皆昔話になって、 思い出してさえあまりに今と遠くて心細くなるばかりなのですが、 うれしい方がおいでになりましたね。 『親なしに臥《ふ》せる旅人』と思ってください」 と言いながら、御簾のほうへからだを寄せる源氏に、 典侍《ないしのすけ》はいっそう昔が帰って来た気がして、 今も好色女らしく…