【源氏物語645 第20帖 朝顔27 完】藤壺の中宮を恋しく思いながら眠りにつくと、藤壺の宮の面影が見えた。お恨めしいふうで「恋の過ちが知れてしまい恥ずかしく苦しい思いをしています」とお言いになる。

月はいよいよ澄んで美しい。夫人が、 氷とぢ 岩間の水は 行き悩み 空澄む月の 影ぞ流るる と言いながら、外を見るために少し傾けた顔が美しかった。 髪の性質《たち》、顔だちが恋しい故人の宮にそっくりな気がして、 源氏はうれしかった。 少し外に分けられていた心も取り返されるものと思われた。 鴛鴦《おしどり》の鳴…