【源氏物語654 第21帖 乙女9】学問相当な地位も得られず、後援者もなく貧しかったこの人を、源氏は見るところがあってわが子の教師に招いたのである。学問を大切に思う源氏に、若君の教師は嬉しく思った。

「世間の親が愛におぼれて、 子に対しては正当な判断もできなくなっているなどと 私は見たこともありますが、自分のことになってみると、 それは子が大人になっただけ親はぼけていくので やむをえないことだと解釈ができます。 私などはまだたいした年ではないがやはりそうなりますね」 などと言いながら涙をふいているの…