平家物語55 第3巻 御産②〈ごさん〉〜The Tale of the Heike🪷

ところで中宮の御産は、陣痛は続くのだが、難産である。 なかなかご誕生にならない。 つきそっていた入道清盛や奥方は、 ただ胸に手を押しあてたまま、おろおろするばかりで、 頼りにならぬことおびただしい。 人びとが、うかがいを立てても、 「どうかうまくやってくれ、 よいように急いでやってくれ」 と声をふるわすば…