【源氏物語673 第21帖 乙女28】夕霧の若君は宮のお居間のほうへ帰ったが、ため息を大宮がお目ざめになってお聞きにならぬかと遠慮されて、みじろぎながら寝ていた。

さ夜中に 友よびわたる 雁がねに うたて吹きそふ 荻《をぎ》のうは風 身にしむものであると若君は思いながら 宮のお居間のほうへ帰ったが、 歎息《たんそく》してつく吐息《といき》を 宮がお目ざめになってお聞きにならぬかと遠慮されて、 みじろぎながら寝ていた。 若君はわけもなく恥ずかしくて、 早く起きて自身の居間…